SERIES 43　「ＢＡＣＫ　ＴＯ　ＢＡＣＫ（背中合わせ）」

「２００ｋｍ／ｈ‐　２５０ｋｍ／ｈ‐　まったく飛行速度ですね　狂ってると思われても仕方ないですヨ　‐そう　大マジなんですよねオレ達は」
「カリは返すヨ　ブラックバード」
「大井ＵターンＣ１コースはとらなかった　湾岸神奈川戦超高速エリアでいいワケだ　自信だナ　ブラックバード　絶対に逃がさない　完全に射程距離に入った‐」
「！　白の３２Ｒ？　ちがうレイナじゃない　ただの雰囲気組か　そういえば少なくなったナ　ココを本気で走る３２Ｒは‐　３２Ｒから３３Ｒそして３４Ｒへ　‐１０年だ　やっぱり３２Ｒはいいナ　心情的にも特別な車だ　惹かれる　だが実戦ではやはり３３Ｒだ　新しい３４Ｒが出た今でも‐　ワケしり顔がこざかしい理屈で３３Ｒを評価する　３２Ｒより伸びたホイールベース大きくなったボディ　ピュアに走りを追求していないと‐　わらわせるぜ　何も見えてないくせに　‐その時その領域を共にした者だけが　３３Ｒこの本質を知るんだ‐」
「大きくなったボディや伸びたホイールベースは　たしかにコーナーでのダルさや車との一体感を欠く　だがそれは低速度域低荷重でのハナシだ　大きいボディは空力を優先し２００ｋｍ／ｈからキク　長いホイールベースは超高速域で急激な変化を押さえこみ　信じられない一体感安定感を出す　‐結果恐ろしい速さで　右に左に舞える　そしていちばん大事なコト　３３Ｒは真っすぐ走ろうとするんだ　その領域を知らない者達はカルく言う　最高速なんて真っすぐでしょただアクセルベタ踏みでしょ　車は真っすぐ走らない　その領域で真っすぐ走る車は世界中ドコにもないんだ　‐そして公道３００ｋｍ／ｈを出すというコトは　必然的に２５０ｋｍ／ｈ級のコーナリングを　繰り返していくコトなんだ」
「どーですか安彦サン　けっこーいいでしょ？　タービンもエンジンも全部やり直しました　あのブラックバードを　今押さえてます　京浜島から羽田北トンネル　３００ｋｍ／ｈ‐！　２８０ｋｍ／ｈ・・　２６０ｋｍ／ｈ・・　羽田ストレート　２７０ｋｍ／ｈ・・　２８０ｋｍ／ｈ・・　羽田南トンネル　２８０ｋｍ／ｈ・・　２９０ｋｍ／ｈ・・　湾岸川崎料金所　ふう‐　自信だナつきあってくれたか　きたきた！　水温上昇電動ファン全開　連動して油温上昇　高回転高負荷からのいきなりの停止状態　走行風ゼロエンジンヒートアップ　キツイぜコレは‐　いつもは羽田南トンネルからクーリング（冷却）に入る　だが今回はギリギリまでわざと踏んだんだ　そっちは平気そーだナすごいナ空冷のくせに　ダメかオーバーヒート・・・・　‐あ　ＯＫ合格だＲ　さあ‐神奈川超高速エリアだ　横羽線のカリはきっちり返すぜ　ブラックバード」
「水温ＯＫ　油温＆油圧ＯＫ　鬼門の川崎ゲートもきっちりクリアした　あれだけの高回転高負荷からいきなりの停止エンジンヒートアップ　そしてさらなる加速態勢へ」
「湾岸神奈川線関東エリア唯一の　いや日本中でここだけの　オーバー３２０ｋｍ／ｈステージ　ブースト１．８ｋｇ安定タレなし　いける　最高にエンジンがカルい　ＭＡＸ３２０ｋｍ／ｈからさらにいくつのせられるか　いっきに突き放す　ここでケリだブラックバード　４速９千‐　５速シフト‐ッ」
「５速に入らない！？　クラッチ？　ミッション？　違うこれは・・」
「ちゃんと入るここまで速度をオトせば・・　４速で上までひっぱった時だ　高回転高負荷で５速に入らなくなるんだ　これはミッションやクラッチそのものじゃあない　おそらくエンジンマウント・・　エンジンをささえるマウントが高回転域で耐えきれずズレる　もしくはクラックが入っている　少しでも重心を下げたくてマウントを加工　それがアダになった・・　新しく組んだＥｇ（エンジン）を車体に乗せた時ふとエンジンマウントのコトが気になった　増大したパワーに対しどうかな・・と　だけどごまかした　大丈夫だろうと　自分に都合よくいいきかせた」
「やっぱりクラックが入っていた　完全な強度不足だ　あまりにも稚拙なミスだった　たしかにわかっていたんだ　・・あの時　だけどごまかした　早く走り出したくて自分の心をごまかしたんだ　残ったものはただ‐　悔やみきれない後悔だけだ」
「ね‐　あいかわらずアマい仕事してますヨ・・　だから大事なトコで逃げられちゃうんですよね　でも次はないですよブラックバードも　そーそォあのＺ　ウワサじゃ連日セッティングを繰り返してるって　マジでおもしろくなりますヨ　ドコかの街で元気ですか安サン・・　オレは元気こんなに充実した日々初めてだもん」