コヤマンが入社した年・・・またまたドライブゲームの技術革新が起こるのでした・・・
その名も「ポリゴナイザー」
ポリゴナイザーってなんじゃい?
当時ナムコは、よっぽどこの「ポリゴナイザー」なるものの開発に成功したことが嬉しかったのでしょう。
コヤマンは、入社前の説明会や入社後の研修で、会社から散々自慢話をされたのでした。
なので新兵のうすボンヤリのコヤマンでも、ハートマン軍曹から聞かされた開発苦労話をよーく覚えています。
開発に6年以上もかかったって事、開発着手当時はだれも見向きもしなかったって事、
そんな逆境にも耐えながら進める事の大変さ・・・等々
そんでもって・・・
えっ?
まだ「ポリゴナイザー」について説明してない?
あちゃー、すっかり飛ばしてしまったです。申し訳ないですm(・ε・)m
「ポリゴナイザー」
その響きから勘のよさげな諸兄はおわかりですね。
そーです。
おどるポリゴンやバーチャルポケモンのポリゴン君でも有名な「ポリゴン」って言葉と密接な関係があります。
そもそもポリゴンってなんだっ?という貴兄に・・・説明しよう!
3次元CG(コンピューターグラフィックス)で立体の形状を表現するときに使用する多角形のことです。
タイヤが8角形になっているにを見たことがあるでしょ?
3角形の集合体で構成するのが一般的です。
と、ポリゴンについて説明しまくって原稿の文字数を稼ごうと思いましたが、あっさりやめます。
ごめんなさい。
天才的な知識をひけらかしても誰も喜ばないので寂しいからです。
・・・というのは嘘で、説明できる程詳しくないのです。ごめんなさい。
ググればきっとこの世の奇特な誰かが詳しく易しく丁寧に説明してくれてるんじゃないかなぁ〜(希望的観測&放棄)
あっ!
それはそうと、いっぺんにまとめて撮って前編後編で放映する映画みたいに、いきなり前回の終わりの文章から、なし崩し的にスタートしてますが、ついてこれてますか?
ちなみに、コヤマンは前回の時にまとめて原稿書いてなかったので、思い出すのに苦労してます。
今もマエダ氏に締め切り攻撃くらいながら必死で原稿書いてるんです(TεT)
おそまきながら、前回の要約です。
コヤマンがドライブゲームの歴史をちょこっと解説しております。
前回ではエレメカからテレビゲームへと技術の進歩と共に変化しながら連綿と続いてきたドライブゲームという製品を舞台裏から見てみました。
表が白歴史、裏なので黒歴史 と勝手に定義ちゃいます。
今回は、どっちで行こうかなぁ〜と考えながら筆を進めております(キーボード叩いているんですが・・・)
まあ、流れで白になったり黒になったりして、まさにグレートークになるでしょう・・・ふふふ ハァ〜orz
まーた、話がそれ気味になった・・・
ええっとなんでしたっけ? そうそう「ポリゴナイザー」ですね。
そうですねぇ〜
見た目には、黒い5センチくらいの四角形で厚さが5ミリくらいかな?銀色の足がいっぱい生えてて背中に白字で「polygonizer」って書いてあります。
・・・ってどんどん遠ざかっているような気がしてきた。
簡単に説明しますと、立体に見えるCGを描画するのに必要な3次元演算を専門に司るLSI(大規模集積回路)です。
えっ?ますます分からなくなった?
PS2のEE(エモーションエンジン)みたいなもんです。
えっ?まだ分からない?
スムーズな3次元CGのゲームが遊べるように設計されたゲーム基板の中の専用チップ。
むむむ、この辺で勘弁してください。
いまでこそ、3次元CGのゲームはあたりまえ過ぎちゃって、3次元空間とか3DCGとか改めて意識しなくなってきちゃった。
そもそも、いろんなゲームやるのに3Dとか2Dとか理由でゲーム遊ばないもんね。
おもしろいかどうかだもんね。
でもね。その当時は3DCGって言えば、軍事用や産業用の専用コンピューターでしかお目にかかれないものだったんですよ。
ヒュイコブラのシミュレーターとかボーイング747のシミュレータとか何億円もする機械だったんですよ。
図鑑とかに載っててコヤマンは「うぉぉぉスゲー技術だ!かっこいい、やってみたーい!」とブヒブヒしてたのでした。
訓練用だからパンピーは出来ないし、きっと自衛隊とかに入らないと駄目なんだろうなぁ〜って・・・
それが、ゲーセンで誰でも気軽に体験できるようになったんだから!
それはそれは凄いことだったです。
ハートマン軍曹の自慢話もとい苦労話に心で拍手をしながら聞いてたコヤマンでした。
それがねぇ〜今はねぇ〜携帯電話でも3DCGできる世の中ですよ。
良い時代になったもんだ・・・しみじみ
おじさんの頃はね・・・遠い目
3Dゲームって概念すら無かった時代だったんだよ。
ゲーセンにいきなり登場したんだよ。
それはそれはびっくりしたんだよ。
ドライブゲームは、3Dになって激的に変わったんだよ。
それがポリゴナイザーを搭載した新しいゲーム基板「System21」製品第1弾「ウイニングラン」です。
世はF1ブームまっさかり!
憧れのフォーミュラーマシンを6速シフトで操縦できるドライビングシミュレーターが登場したんだから社会現象起きまくりで業界激震が走ったもんです。
と言うのは真っ赤な嘘です。地味に知る人ぞ知るって感じでした。
だって、絵がボロン・・・世はセガの出す6万色の美麗グラフィックの時代、綺麗に描かれた圧倒的な物量の敵機や車が画面狭しと暴れてました。
そこへ、絵の具の基本セットの色で塗られたカクカクした積み木や折り紙みたいな車がカクカク動いているんだからね。
筐体は動きまくりの2軸可動、エルゴデザインで格好良かったんですが、体感筐体はセガも優れてましたからそれは二の次三の次の要素です。
絵はボロイが、技術好きのゲーマーやF1好きを虜にする何かに溢れていたのです。
3DCGで表現されたサーキットとフォーミュラーが目の前にあるということに痺れない漢はいないだろっ!
んでもって遊んでみると箱庭感覚にびっくり。
簡単に言うとサーキットの行けそうなところを自由自在に走れるってこと。
いままでの2Dゲームだとハンドル操作しても用意された絵しか出てこなかったんだよ。
それが3Dになると自分の操作で色んな絵(状況)を見せてくれるんです。
紙芝居が舞台劇になった感じかな?
2Dゲームって、走行プログラムが3次元計算をがんばっても、絵が用意されてないと画面に反映されないのです。
簡単に言うと自由に走り回る感じを味わうには、用意された絵の数が勝負だったりするんです。
パワードリフトは3次元計算されてかなりのところまで3Dに迫ろうとしてたのが凄かった。
あれは圧倒的なスプライトの物量でポリゴン世界に迫ってたっけ。
SFCマリオカートも1面しかない拡大縮小機能を巧みな発想で使って自由自在感覚を表現してたっけ。
あっ!またおいてけぼり攻撃しちゃった。「スプライト」もどこかの誰かに聞いてみて。
まとめると、3Dゲームになってプレイヤー出来る事が飛躍的に増えちゃった。
画面の中の3次元で計算された空間に主体的に関われる嬉しさに、当時のコヤマンは興奮したのでした。
さて、ウイニングランで3D空間のサーキットでレース出来るようになると、副産物としてこれまでにない様々な現象が起こりはじめるんです。
まず「画面に見えないところも意識しないとならない」
3次元になるから空間把握って、あたり前なんだけどこれには戸惑ったよ。
だっていきなり「コクピット視点」だけなんだよ!
2Dゲーム時代もRF2とか一部の製品であった表現だけど、ほとんどのドライブゲームは自分の車体が目の前に見える視点(ビハインドビュー)だったんです。
画面に見えてるマイカーとライバルカーがぶつからないように、コースからはみ出ないように、って感覚で操作してたんだよね。
それが、このゲームは自分の車が見えないのです。
見えてるのは、インパネ周りと前タイヤくらい。
これには戸惑ったヨ。
ゲームスタートしたら、いきなりフォーミュラーマシンのコクピットに乗っけられちゃうんだよ。
画面に映っている部分以外は、どんな形状してるか良く分からないんだけど、3D空間には存在しているらしい。
つまり、車両感覚がわかんないから、後輪でライバルカーをひっかけたり、壁に接触しちゃったり、横が見えないから当たっちゃたりしたっけ。
新しい感覚が必要だったんですね。
「ムズイ!でもなんか嬉しい。」そんな感じでした。
そして「逆走」
サーキットを自在に走れるってことは、進行方向と逆にも走れるんだよね。
わざとやるには良いんだけど、車の挙動(操作に対しての動き)も3次元計算の結果が絵となって画面に反映されるんだよ。
つまり、むちゃすると車がスピンするんです。
これには相当戸惑ったプレイヤーが多かったんじゃなかろか?
アクセル全開でコーナーに進入って「えいやっ」ってハンドル切ると、「あれれれれーっ」て視界が回り出すんだよ。止まったのは良いけど、どっち向いてるか分からない。
いそいでコースの進行方向に自分の操作で復帰しないとなんないのです。
制限時間はドンドン減るし、ライバルカーにはどんどん抜かれるし、もうパニックになっちゃって、結局逆に走っちゃったりするのです。
これには参ったヨ。
その点ハードドライビンは復帰に時間がかかると、自動的にコース復帰したっけなぁ〜。
ハードドライビン?アタリだよ。(なんのこっちゃでしょう?)
ええいっ!説明がめんどくさくなってきた。もうドンドン飛ばして行こうーっと。
ついてこれなかったらごめんなさいm(_ _)m
つぎは、逆走と似てるけど「バック」
ウイニングランにはバックギアがついてまして、これがまたまたムズイ!
車が壁に刺さった時に復帰しなきゃなんないんだけど、ハンドル操作しても感覚的によくわかんない、意志と違う方向に行っちゃったり、おまけに時間がドンドン減って・・・パニックしちゃうんだよ。
最後はいまだに物議を醸し出す「壁ターン」
おっ!いよいよ黒くなってきました。
ちょっと前置きが長くなるよ!我慢してね。
実際のレースって速く走ることが出来る人間が優秀だと評されます。
人間は、スピードを追求する生き物だって何かに書いてあったけど、不思議と納得したコヤマンであります。
レースは、格闘って要素もあるけど、タイムトライアルに限れば1/100秒でどっちが優れてるかって競争だよね。
タイムは、スタートしてからゴールインするまでの時間だから、少しでも速度が高い方が良いわけです。
なので、どうしても速度が落ちる「コーナー」という障害に対してハンドルやブレーキタイミングやアクセルコントロールしたりする訳です。
つまりコーナーの脱出速度が少しでも高くなるような走行ラインを探して、コース内の平均速度が少しでも高くなるようにみんなガンバル訳です。
それがコース攻略です。
そのコース攻略の要素のひとつを「ライン取り」っていうんだよね。
アウトインアウト、スローインファーストアウト とかって技法を聞いたことあるでしょ。
なにを言いたいかって言うと、
ゲームも3D空間で遊べるようになると、遊ぶ毎にだんだん空間が把握できるようになって来て、現実世界みたいな錯覚が出てきます。
すると、現実世界の車の動きを期待しちゃう。
少しでも車の運転体験に近いに挙動になった方が攻略が掴みやすい訳です。
ここの解釈は設計思想によって様々です、感覚として現実体験に近い、物理演算として実在に近い、とか製品が目指す方向によって色々在りますが、空間を走るにあたり自動車の動きを分析して挙動を作ります。
作り手は、コンピューターの限られた計算能力を使って掴みやすくなるように挙動を作り、プレイヤーは作られた挙動の中で競い合います。
コース攻略は実際の技法が使えた方がわかりやすいし、競争がおもしろくなるから挙動にあわせて、コース上のルールを決めて行きます。
たとえば、このコーナーはギヤを3速まで落として曲がるように設計しようとか、芝生に入ったらマイナス20kmにしようとか、壁に接触したらマイナス50kmにしよう(壁のペナルティー;略して壁ペナ)とか、本当のレースの駆け引きを楽しめるように設計していくのした。
・・・おわり。
えっ 前置きだけだったって?
そうかなぁ〜
あれ?説明してない?
とぼけるのは、やめます(TεT)
イニDはうまいこと解決しましたね。すばらしい。パチパチ。
コーナーを曲がるスピードが速いことが大切って言いましたよね。
そのために、実在の技法があるって・・・それをゲームで応用して楽しいって・・・
「壁ターン」
この技法は、現実でやるとあの世に逝くのでやめた方がいいです。
説明は簡単です、マイカーの速度を充分に載せてイイ感じの角度で壁にぶつけ、跳ね返ってコーナーを曲がる技法です。
簡単でしょ。
で、何が問題になるかって?
それはね・・・
コバヤン!言っちゃても良いかい?
まっいっか。ウイニングランだもんね。
では説明します。
ライン取りの技法でぎりぎりまで詰めてなんとか80kmで抜けられるコーナーがあるとします。
たとえば壁ターンを使うと同じコーナーを120kmで抜けることが出来ちゃいます。
すごい速さでコーナーに侵入すれば、壁ペナ分のマイナスを食らったとしても、通常のブレーキからのコーナーリングの減速量より少なければ、壁にぶつけて跳ね返すって訳です。
実在に無い技法なので、ズルイ、裏技、みたいな扱いを受けます。
速く走ると偉い世界ってあるんだよね。
でも、ルールを守って技を競うから競技って言うんだよね。
「壁ターン」は制作者も意図していない中から生まれた技法。
だからルール違反みたいねイメージがあるのです。
現実では出来ない・・・ゲームだけの技だからね。
3DCGになってはじまった現実との境界線。
くどくど3次元ゲームについて説明して来たけど・・・これは難しい問題です。
ただね、これって技法としては難易度高いと思うヨ。
興味深い研究成果を話ますね。
外向きにはしたこと無いと思う。
コヤマンの同期に赤木博士がいるんだけど、彼女は入社してすぐ研究部門に入り人工生物を研究しはじめたのさ。
といっても怪しいもんじゃないよ、いまで言う人工知能のこと。
AI(エーアイ)なんて言葉はまだ一般には無かった時代だよ。
彼女から聞いたけど、社内発表の時にかかってきた偉いさんからの電話で「今から行こうかと思ってるんだがね、キミィーそれって大きいのかね?」って逸話があります。
その人工知能は、ある目的与えると達成するために決められた世界の決められたルールの中でベストを尽くすんです。
そいつを「ウイニングラン」に搭載したそうです。
目標は、前回の自分より速く走ること!それがAIに与えられた存在理由。
そのAIは次々と周回を重ねタイムを更新して行き・・・最後は、そう、ついに壁ターンを見つけてしまった。
AIにとっては、それもルールだったのです。
だって、AIの現実世界は、コンピューターの中にしかないのだから・・・
ちょっとアシモフちっくに締めながら今回はここまで!
まだまだドライブゲーム歴史はゲームの技術革新の歴史なのです。
それは、ドラゲーは常に新技術をお披露目する格好の題材だったからです。
つぎは「テクスチャーマッピング」で会いましょう。
なんか黒歴史と主旨が変わってきたような?
まっいっか!
では、
See you again!