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2021年07月29日

『とるモ』が創る!新しいアミューズメントの可能性

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デジタルマーケティング部 デジタルコマース課

川原 平士郎

【プロフィール】

1993年新卒入社。入社後13年間は地方を含めて15店舗ほどアミューズメント施設を回り、店長や新規立ち上げを多く経験。その後はエリアのブロックマネージャーに就任し店舗管理にあたる。2017年ネットクレーンゲーム事業の本格化に伴いプロジェクトリーダーを担当。事業の先駆けとなる『とるモ』の開発・運営を行い現在に至る。

「いつでも」「どこでも」スマートフォンやパソコンで、本物のクレーンゲーム機を遠隔操作して景品を獲得するというサービス『とるモ』。事業の展開から3年ほどが経過した2020年初夏に大きく注目を浴び、オンラインを駆使した新しいアミューズメントの形を確立させました。今回は立ち上げからリーダーとして奮闘されてきた川原平士郎さんにお話を伺います。

事業の土台づくりをしていた当時、BNAMのご担当としてはお一人で奔走されていたそうですが、当時の様子や心境を教えてください。

ネットクレーンゲーム事業に会社としては早くから注目し、研究開発はされていたのですが、主体となって運営する担当者がいませんでした。2016年の7月にネットクレーンゲームの市場に関する国の見解が明らかになり、その手前の3月に私が担当することになりました。
それまで私のキャリアのほとんどは店舗というリアルな場での経験しかなかったため困惑はありました。期中に運営を軌道に乗せ、収益を上げるという目標もあったため、当時は頭の中が数字のことでいっぱいでした。システムや戦略の仮説を立てながら計画を練っていくのですが、数年先の展望よりも目先の課題をクリアしていくことで精一杯な状態だったんです。
そのような状況のなかで意識していたのは「優先順位」でした。とにかくやらなければいけないことが沢山あり、どこから手を付ければよいのかわからないほどだったため、優先順位をつけて効率的に進めることが最重要でした。そのとき判断基準として重視していたのが「ユーザー目線」です。オンラインでクレーンの遠隔操作が行われているがゆえに、実機がある現場ではユーザーの表情や反応はわかりません。だからこそ、ユーザーが体験するあらゆる場面を想定して設計や改修をする必要があり、そこから優先の度合いを決めていくというやり方で少しずつ進めていきました。その一連の意識は今でも変わらず持っています。

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それまで課題と向き合う日々だったようですが、状況が一変したターニングポイントはどこにあったのでしょうか?

市場への参入後も、見直しと改修を繰り返してきた『とるモ』が注目されるようになったのは2020年の5月下旬からです。
当時、人気のあったアプリゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のナムコ*1限定商品を『とるモ』で販売することにしました。販売日を迎えるとアクセス数が想定を遥かに超え、翌日にはサーバーが一時的に落ちてしまうほどでした。
景品自体は十分な数を用意していたのですが、お客様側では景品に限りがあると認識され、サーバーを復活させても再度アクセスが集中することが予想されました。そこで急遽景品を受注生産に切り替え、獲得したお客様全員に必ずお届けすることを告知したうえでサーバーを開きました。困難をアイデアで乗り越えたその時が『とるモ』のターニングポイントで、多くの方にご利用いただけたのは本当にありがたかったです。
それまで苦しいときや大変なときは、必ず転機が来ると信じて取り組んできました。当時人気のIP*2を取り入れたのも戦略として功を奏し、予想を超えるアクセス数には驚きましたが、お客様全員にサービスを提供し、しっかりと利益を上げられる体制が実証できたことは本当に良かったと思います。

*1 ナムコ:バンダイナムコアミューズメントの展開するアミューズメント施設の名称
*2 IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指します。

オンラインを活用した新しい分野のアミューズメント『とるモ』の魅力とはどこにあると思いますか?

『とるモ』は一見すると、スマートフォンやパソコンを利用するため入口がデジタルですが、出口はクレーンの実機を動かすというアナログです。日本全国のどこでプレイしても、複数のクレーンが保管された首都圏にある1つの倉庫と繋がっています。そういったデジタルとアナログのハイブリッドな仕組みに『とるモ』の魅力があるのではないかと思っています。
事業をスタートさせた当初、『とるモ』はバンダイナムコアミューズメントのゲームセンターがない地方での利用が多いと想定していました。しかしデータを調べると、思っていた偏りはなく、むしろ都市部に利用者が集中しているとわかりました。さらに利用時間帯は夜から深夜にかけてが多く、「どこでも」ということより「いつでも」に価値があるのだと感じました。

かつて、ゲームセンターこそが3Dやオンラインなどの最先端技術に触れる場所でした。しかし、今は技術の進歩によって家でも楽しめる時代ですから、アミューズメントの形も少しずつ変わってきたな、と長年この業界に携わってきて感じています。むしろ変化に対応できるからこそ、これからも続くだろうと思います。ただ、やはりどこかで自分自身が動かしているという体感は必要であり、アナログであるほどその実感は大きくなります。
『とるモ』の場合は、デジタルを駆使してアナログの実機を遠隔で動かすという体験が、店舗でのプレイに近い楽しさを生み出しているのではないかと思います。仮に画面の先が2次元のバーチャルだとしたら、リアリティーや面白味は感じられません。すべてがデジタルではないという点で、『とるモ』は斬新だったのではないかと思います。

↑クレーンの実機が保管されている倉庫

アミューズメントの形式もさらに変わっていくなかで、『とるモ』における今後の目標について教えてください。

まずは、『とるモ』が強固なプラットフォームだと認識される状態を目指したいです。『とるモ』に出品すれば売れる、『とるモ』と組めば成功できると、アミューズメント業界に限らず広く評価されることです。そしてお客様をはじめ、お取引先様や社内からも信頼と安心を得られるように成長させていくことが今の目標です。
もっと先を言えば、海外でのサービスも拡大していきたいと思っています。現在、海外では唯一香港のみ提供していますが、サーバーや倉庫の拠点も増やしながらグループの持つIPの強みも生かして、世界に通用するサービスにしていきたいと思います。
より多くの方に『とるモ』を楽しんでいただけるよう、目の前のチャンスを捉えていきたいです。

→ 後編は自身のキャリアについて伺いました。

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