『釣りスピリッツ』は、画面上を泳ぎ回る魚を、サオ型コントローラー『サオコン』を使って釣り上げる、魚釣り体験ゲームです。namcoをはじめとする全国のゲームセンターに設置されており、小さくてかわいらしいカクレクマノミや、サメなどの大型魚まで、バリエーション豊かな魚と迫力満点の“釣りバトル”を楽しむことができます。狙った魚が食いつくのを待ち構え、『サオコン』でリールを巻いて釣り上げるという、子どもたちが体を使って遊ぶことができる点が最大の魅力です。また、実際の海にいる生き物が登場するので、自然への学びの側面ももっています。
2012年の稼働開始以降、多くの方にプレイいただき、2022年には10周年を迎えることができました。その間、バージョンアップは何度も行ってきていますが、10周年を記念し、同年12月15日に大型バージョンアップ『釣りスピリッツ シンカー』が登場しています。

今回のバージョンアップでは、釣りの面白さの“原点”に立ち返ることをテーマに、2つの新要素を追加しました。それは、深海魚・旬の魚の導入と、連動サイト『釣りスピ-NET』です。

深海魚に関しては、釣りの深さ＝ “棚（タナ）”という概念を取り入れています。棚とは、魚が好んで泳ぐ水深のことで、最も深いエリアに生息しているのが“深海魚”です。この深さを画面上で表現できれば、よりリアルな釣りを体感できるはずと考えました。もちろん、ゲーム画面は平面です。海面からの距離感や、魚の上下の位置関係をどう表現すればよいのか、試行錯誤を重ねました。
完成形では、深い場所を泳ぐ深海魚はもやもやとした姿にしています。さらにウキが勢いよく回転しながら沈み、海底近くに達すると暗闇で赤く点滅する演出を加えました。
旬の魚には、釣りの “時間”の概念を取り入れました。魚の登場時期を、現実の四季に合わせてあるので、ご来店いただくたびに新鮮な体験ができます。また同じ魚でも、たとえばカツオは秋になったら“戻りガツオ”と呼ばれるようにして、リアルを追求しました。
この“深さ”と“時間”で、遊びの幅を大きく広げることができました。

『釣りスピ-NET』は『釣りスピリッツ シンカー』内で獲得した魚が図鑑に保存されるサイトです。何を、いつ、何匹釣ったのか、最大サイズは…など細かく記録されます。さらに同じ魚でも2匹目、3匹目とゲットするたびに情報が追加され、図鑑が充実していく仕組みです。登録にあたっては、保護者の方にスマートフォンを操作いただく必要があるので、誰でも簡単に素早く登録できるよう、サイト設計を工夫しました。

今回のバージョンアップでは、最初に、メンバー全員で自由にアイデアを出し合いました。そのなかで“深海”というキーワードが出たので、子どもたちへのイメージ調査を参考に、企画に落とし込んでいきました。「これで行けそうだ！」と確信できたら、次はさらに、予算は、開発期間は…など実際的な計画に落とし込み、社内審査に挑みます。そして無事審査を通過し、実現に向けて動き出しました。
以降は、開発のエキスパートたちと協力してつくり上げていきます。今回は、開発チーム約20名と、外部の協力会社とが連携しながら、つくり上げていきました。