2022年07月11日
無限の可能性を秘めた コラボイベントの世界
渡邊 安由美AYUMI WATANABE
【プロフィール】
2016年入社。長野県にあるnamco店舗と『J-WORLD TOKYO※1』で、それぞれ1年間勤務。その後は営業推進部景品販促課へ異動し、グッズや景品のバイヤーとしてIP※2商品の仕入れに携わる。2021年からはマーチャンダイズ部IPプロデュース課にて、施設内におけるキャラクターコラボイベントの企画・プロデュースを担っている。
※『週刊少年ジャンプ』掲載の漫画やアニメをモチーフにしたテーマパーク。2019年2月17日閉場。
※IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指します。
『J-WORLD TOKYO』の店舗スタッフやIP商品のバイヤーとして、キャラクターIPの前線に携わってきた渡邊さん。その経験を生かして、現在はキャラクターIPを活用したコラボイベントのプロデューサーとして活躍しています。前半は渡邊さんにIPやイベントに対する思いについて伺いました。
※内容は、2022年3月の取材をもとに構成されています。
渡邊さんの現在の業務内容を教えてください。
屋内型テーマパーク『ナンジャタウン』やnamco店舗で実施される、キャラクターコラボイベントの企画と管理をしています。プロデューサーの業務は、どこで、どのようなキャラクターIPを活用してイベントを展開するか企画を立てることから始まります。次に版元様への企画の提案とIPの取得、売上計画の設計、そして準備から実施までの運営管理が主な業務内容です。イベントは定期的に行われるため、次回に向けた企画と管理を平行して進めています。
企画を組み立てるときは、顧客接点をいかに増やすかを一番の目的に考えています。そのうえで、イベントにどのIPを使用するかがとても重要なので、日頃からヒットに繋がるトレンドの先取りをするためにも情報収集を心がけています。
今の部署に来てまだ半年ほどですが、かつて『J-WORLD TOKYO』の店舗スタッフとしてIPを活用したサービスでお客様が喜ばれるポイントを学んだり、景品のバイヤーとしてIP商品に直接関わった経験もあり、それらは今の私にとても生きていると感じています。
イベントが提供できる価値やサービスについて、どのように考えていますか。
これを買うため、食べるため…と1つのことを目的にして娯楽を楽しむ機会は多いと思いますが、イベントの場合は、それらを組み合わせて、お客様が同時にいろいろなものを楽しめるのが特徴です。1つの空間で、欲張りに楽しめるのはイベントならではの楽しみ方だと思います。
キャラクターコラボのイベントは、テーマ・世界観に沿ったアトラクションやフード、フォトスポットや景品、さらには装飾までもすべてがお客様に楽しんでいただける価値を生み出しています。イベント空間内では、どこをとってもIPキャラクターを活用したサービスに溢れていて、まさに「IPジャングル」ですね。
イベントは自由な発想でゼロから企画していくので、何を取り入れ、どう組み合わせるかは自分次第です。「何でもできる」と言うと大げさかもしれないですが、オンラインやモノなどのツールを無制限に取り入れることもでき、無数の可能性が広がっているのは確かです。だからこそ、イベントは唯一無二の体験価値を生み出せる場所であると考えています。
ニューノーマルの訪れによってイベントの形態も変化しましたが、そこに対するご自身の考えを聞かせてください。
コロナ禍では、世間的にもイベントがオンラインで実施されるようになり、私もアーティストのライブイベントをスマホで視聴したことがあります。チケットに人数制限がなく、どこにいても気軽に参加できるメリットもあって、新しい可能性を感じました。
しかし一方で、リアルと比較して360度包まれるような音響や演出、会場の熱気や一体感などは画面から体感するのは難しいものです。オンラインイベントが増えることによって、むしろリアル体験への欲求がSNS上でも高まっていて、デジタルが発展し続けても、リアルエンターテインメントは私たちにとって必要なものだと改めて認識しました。昨今では、デジタルの活用がますます普遍的になりましたが、それでもリアル体験は、今後も望まれ続けるのだろうと思います。
バンダイナムコアミューズメントはリアルエンターテインメントに価値を生み出す企業です。私たちにはリアルを追求し、時代に合った体験価値を創ることが求められますが、多様性が溢れる時代だからこそ、新型コロナウイルスが収束したときに訪れる新しい変化や可能性にワクワクしています。
イベントプロデューサーとして大切なことは何ですか。
IPを活用したサービスの訴求ポイントを常に明確にして、これだけは譲れないという自分の軸を持つことが大切です。
プロジェクトはイベントプロデューサー主体で進行していきます。一貫して大人数の方と協力して進めるので、企画のビジョンがぼんやりしていると、現場にも混乱が生まれてしまいます。ほんの少し認識の違いがあっただけでも、最終的なアウトプットが理想のゴールから逸れてしまうこともあります。
正直なところ、これをすればヒットする、という方程式も正解もないと思います。過去の事例や統計は参考になっても、やはり数字として結果が出るまでは、不安な気持ちを抱えるときもあります。それでも不安をはねのけるほどの、綿密なリサーチや計画を練って「これで実行する」と覚悟を決めたら、自信を持って周囲に発信していくことがプロデューサーには求められると思います。
考えて思い悩んだコンテンツが世に出たあとで、お客様からの良い反響を得ることが、この仕事のとても大きなやりがいです。それを繰り返していくことで、「これはイケるかも」というヒットへ導く感覚もきっと磨かれていくのではないでしょうか。