2021年10月、ナンジャタウン内に新たに誕生した『ニャンジャタウン』。
企画立案から担当されたとのことですが、施設のコンセプトと、開設までの経緯を教えてください。
『ニャンジャタウン』は“不思議な猫の町”がコンセプトの、猫が主役のふれあいパークです。ナンジャタウンの1階スペースの構造を活用した隠れ家のような空間になっており、個性豊かな猫たちと、ふれあいを楽しむことができます。

企画立案にあたっては様々な偶然や必然が関わっていますが、大きなきっかけは2つあります。
1つめは、ナジャヴという猫のキャラクターがシンボルであるナンジャタウンに「本物の猫がいたらもっと楽しい」と、以前から多くの声があったからです。内装のあちこちに猫のデザインが施されていたり、IPコラボのイベントでキャラクターが猫耳を着けたりと、“ナンジャタウン=猫”のイメージは、お客様にも広く認知していただいています。だからこそ、リアルな猫がいる施設の実現は、ナンジャタウンブランドのラストピースでした。
2つめは、東急ハンズ池袋店の閉店。その情報が発表されて数か月後に、ふと「東急ハンズがなくなったら『ねこぶくろ』はどうなるのだろう?」という疑問が浮かびました。今や当たり前となった“猫カフェ”ですが、私が知っている範囲では、池袋で一番の老舗は『ねこぶくろ』さん。池袋は猫カフェの激戦区ですが、駅にも近い好立地で、存在感のあるスポットでした。そして何より気がかりだったのは、所属している30匹の猫たち。引き取り手を探すにも大変な数です。なにか貢献できることはないかと使命感を感じました。
この2つのきっかけが重なったときにピンときて、すぐに『ねこぶくろ』を運営している会社を調べ、アイデアをメールで送りました。するとその日のうちに『ぜひやりましょう!』とお返事をいただいたのです。それが6月のことで、三か月くらいの間に具体的なプランをかため、9月には猫の引っ越しをしました。10月1日オープンですから、かなりのスピードで進めていきましたね。
『ニャンジャタウン』の企画・運営において、工夫した点やこだわった点を教えてください。
お客様、テナント様、そしてバンダイナムコアミューズメントが“三方良し”であることです。
ナンジャタウンは屋内テーマパークとして、サンシャインシティ様や出店して頂いているテナント様や協力業者様や従業員、そしてお客様、多くのステークホルダーの方々がいます。バンダイナムコアミューズメントとしてのブランディングや収益はもちろん欠かせませんが、ビジネスは、決して一人ではできません。一方だけに利益が偏るのではなく、関わる皆さんにとって良いものであることが重要です。
テーマパークにおける企画とは、例えるなら、1本の映画のようなもの。そして、私は監督の立場です。どんなに面白い物語や役者が用意されていても、制作中に、指揮すべき監督の立場や考え方がぶれてしまったら、お客様を満足させることはできない。作品として成功させるために、企画から準備、運営に至るまで、信念をもって取り組みました。

これからも、お客様に喜んでいただける企画を生み出し続けるために、毛塚さんが大切にしていることは何ですか。
ナンジャタウンの立ち上げから関わり、現在も大人気の『ナンジャ餃子スタジアム』の企画などをされた天才的な先輩社員がいるんですが、その方がよく「半歩先の提案が大切」とおっしゃっていました。企画という仕事そのものについて、私がいつも念頭に置いている言葉です。斬新すぎるアイデアは受け入れづらいし、かといって、すでに流行していることをなぞっても意味がない。双方のバランス感覚を重視する姿勢に、非常に共感していますし、常にそうありたいと思っています。
『ニャンジャタウン』で10月25日からスタートした『ニャワ―ケーションプラン』は、“猫に仕事を邪魔される”という憧れのシチュエーションを体験できる、今までにありそうでなかった、まさに半歩先をねらった企画です。
今後も、お客様に喜んでいただける企画を創っていきます。ご期待ください。