2023年09月11日
ゲームセンター版『太鼓の達人』プロデューサーが語る“遊びのコア”
Taiko no Tatsujin™Series & ©Bandai Namco Entertainment Inc.
※所属は取材当時のものです。
木水 克典KATSUNORI KIMIZU
【プロフィール】
2007年、バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部入社。2012年にバンダイナムコスタジオ コンテンツデザイン4部、2016年にバンダイナムコエンターテインメント AM事業部 企画開発部をへて、2018年にバンダイナムコアミューズメントに異動。現在、『太鼓の達人』(ゲームセンター版)の3代目プロデューサーを務めている。
業務用ゲームのゲームデザイナーからスタートし、ディレクターをへて、現在はビジネス面から運営を支えるプロデューサーとして活躍している木水さん。幅広い世代から愛され続けている『太鼓の達人』のプロデュースに、その経験はいかんなく発揮されています。前編では、ゲームセンター版『太鼓の達人』の魅力や、プロデューサーの仕事について伺いました。
※内容は、2023年2月の取材をもとに構成されています。
『太鼓の達人』のコンセプトや特徴を教えてください。
『太鼓の達人』は、音楽に合わせて太鼓を叩くシンプルな遊びの和太鼓リズムゲームです。家庭用ゲーム機のソフトやスマートフォンアプリ、関連グッズなど幅広く展開しています。そのなかで、私はゲームセンター版『太鼓の達人』の3代目プロデューサーを務めています。
ゲームセンター版の特徴は、まるで本物のような大きな太鼓を身体を動かしてバチで叩く爽快感と、事前の準備なく気軽に始められる間口の広さ、そしてシンプルながらも奥行きの深いゲーム性です。これらによって、誰でも気軽に自分に合った楽しみ方で遊ぶことができます。
たとえば小さなお子様には両手にバチを持って叩く体感自体を楽しんでいただけますし、継続してプレイいただける方には高難度の楽曲でスコア更新に挑み腕前を磨き続ける楽しみ方もできます。また、かつて学生時代に熱中された方が、お父さんお母さんになってからご自分のお子様と一緒にプレイするような、世代を超えて遊んでいただく光景も見られます。
ゲームづくりにおける、プロデューサーの仕事内容を教えてください。
プロデューサーの仕事を端的に表現すれば、プロジェクトがどんなゴールへ、どんなふうに向かうのか、戦略を立てる旗振り役です。
『太鼓の達人』には日々のアップデートやプロモーション、他社コンテンツさんをお借りしての収録や、コラボレーションの企画進行などをはじめ、様々な業務があり、多くのメンバーが携わっています。大きなプロジェクトであればあるほど、お互いが何を考え何をしたいのかは伝わりづらく、すれ違いが起きかねません。
そこで私は、向かう方向性を常に示し続けます。また、全体を見渡して気になる部分があれば担当者に詳しくヒアリングしますし、メンバーの連携が滞っていれば橋渡しをし、軌道修正が必要な部分があれば踏み込んで対応策を議論します。メンバーの力を最大限引き出し、強いチームを作ることで運営を支えるのです。
そのほか、収支の管理や予算確保も担います。特に社内においては、経営層や上長へプレゼンするための資料作りや合意形成も重要な仕事です。
プロジェクトを引っ張る中でつらい立場のこともありますが、その先はお客様の笑顔につながっているという大きなやりがいがあります。
コンテンツの魅力を引き出すため、どんな取り組みを行っていますか。
目の前の大きな太鼓を「ドン!」と叩く気持ち良さは、“遊びのコア”です。叩く感触、連動する音、画面の演出…これらが調和した爽快感は担保し続けなければなりません。そのうえで、より遊びやすくバージョンアップしたり、あらゆるお客様に楽しんでいただけるよう楽曲を収録しています。
また、社内におけるノウハウの継承も重要です。
たとえば、『太鼓の達人』には多くの人が携わっており、10年後にはチームメンバーの多くが入れ替わっているでしょう。様々なリスクやトラブルも想定されます。そのため、資料やマニュアルは、新メンバーが見てもわかりやすい形式で作成し、常に“未来への引継ぎ”をするつもりで蓄積するように心掛け、メンバーにも呼び掛けています。
店舗で何度もゲームをプレイしていただくことは、その都度お金を払う決心をしていただくことであり、お客様に「次も遊びたい!」…と楽しんで満足していただきたいという“お客様起点”の考えは、店舗を持つバンダイナムコアミューズメントに自然と息づいていると思います。
“お客様起点”の考えを大切にしつつ、常に新しく在り続け、今以上の人気コンテンツとして成長していけるよう、これからも取り組んでいきます。